退職理由から読み解く“転職の判断基準”という考え方
歯科衛生士・歯科助手が転職活動をする際には、
まず 転職の判断基準 を明確にして職場選びを行っています。
この判断基準を理解することで、院長先生は応募の背景を読み取り、
採用・面接・定着の精度を高めることができます。
歯科衛生士・歯科助手の採用が年々難しくなる中、
「応募が来ない」「いい人を採用できない」
と感じている院長先生は少なくありません。
求職者は転職活動を行う際、
“転職の判断基準” という自分なりの基準を持って動いています。
これを理解することで、応募が増え、ミスマッチや早期退職が防ぎやすくなります。
退職をギリギリまで考えて限界になり“退職”
求職者が最初に行うのは、
「なぜ今の職場を辞めたいのか」という理由の整理です。
歯科医院でよく聞かれる理由としては、
- スキルアップの機会が少ない
- 人間関係やコミュニケーションに問題がある
- 残業が多く、体力的に続かない
- 教育・評価体制が曖昧で成長実感がない
などが挙げられます。
これらは単なる不満ではなく、
次の職場では必ず改善したい“課題” として本人の中に残ります。
次に“どうなりたいのか”を明確にしている
退職理由を整理した求職者は、
「では、次の職場ではどうなりたいのか」
を前向きに考え始めます。
歯科スタッフで多い例としては、
- SRPやメインテナンスをしっかり学びたい
- 患者さん一人ひとりに丁寧に向き合える働き方が良い
- プライベートも大切にし、長く勤務できる環境がほしい
- 新しい分野に挑戦し、スキルの幅を広げたい
といった“なりたい姿”です。
この前向きな目標こそが、求職者にとっての
転職の判断基準 になります。
判断基準は応募行動すべてに影響する
求職者が決めた判断基準は、
求人選び・応募・面接の受け方まで、一連の行動に大きな影響を与えます。
●求人に応募するかどうか
基準に合わない医院は、候補にすら入りません。
●医院ホームページを見るポイント
「自分の求める働き方ができるか」
「院長の診療方針は合いそうか」
を確認しています。
●志望動機
必ず“自分の判断基準を満たしているかどうか”が軸になります。
院長先生ができること:判断基準に寄り添う採用へ
求職者の視点を理解したうえで、
医院側が取り組めるポイントは次の3つです。
① 退職理由と希望を丁寧にヒアリングする
面接で「前職で困っていたこと」「これからどう働きたいか」を聞くことで、
ミスマッチを早い段階で防ぎやすくなります。
② 自院が提供できる働き方を明確に伝える
求人票・ホームページでは、以下をできるだけ具体的に。
- 学べるスキル
- 教育体制
- 診療スタイル(担当制・アポイント時間など)
- 働き方(残業、休みの取りやすさ)
“具体性”が増えるほど、求職者は安心して応募できます。
③ 求職者の目的に合う環境づくりを行う
「成長したい」「長く働きたい」など、
本人の判断基準に沿った制度や文化づくりができると、
定着率が高まり、スタッフの早期離職が起こりにくくなります。
まとめ
求職者は、
退職理由を整理し、
どうなりたいのかを考え、
それらを踏まえて “転職の判断基準” をつくっています。
院長先生がこの考え方を理解すると、
採用の質が高まり、
長く働いてくれるスタッフと巡り合える確率が大きく上がります。
採用が難しい時代だからこそ、
“求職者がどんな基準で医院を選んでいるのか”を捉えたうえで、
自院の魅力を発信していくことが重要だと感じます。